【東方世界中に関わる幽霊や霊のつくものを追ってみよう】

東方projectまたは関連する作品の多くに触れてきた人ならば何度となく登場する要素を一度は気にすると思う。
メインのところで言えばキャラクターであったりスペルカードであったり。
その他雑多なものを見回していくと結構な率で物語に関わってくるものもたくさんある。
そんな東方projectとそれに関連する作品を彩る要素の一つに特化して触れていきたいと思い立った。
今回は、その要素の一つである「幽霊」について少し思考してみる。
その後、幽霊とその他の霊が関わったエピソードを書き出していこうと思う。

○「幽霊」とは何ぞや

東方projectをプレイしたり関連作品を読んだりしている時によく関わってくるものの一つといえば「幽霊」である。
妖々夢で冥界の中に存在する白玉楼を舞台にした事を皮切りに、色んなエピソードで見るようになった。
お陰で二次創作を考えるときにもかなり出しやすい要素の一つではあると思われるが、
では、東方世界における幽霊とは果たしてどんな存在であっただろうか。
今一度、登場したものから見直していきたいと思う。

と、言ってみたものの実は幽霊そのものに関する記述は求聞史紀に書いてあったりします。
まずは、ここでの記述を基点にしてみて整理した方が良さそうな部分に補足をする感じでいきます。

求聞史紀には、動植物の気質そのものの正体。見た物、聞いた物、触れた物、味わった物を考え方に変換する、
謂わば感性変換器の様な存在である。と、あります。

○幽霊を読み解く鍵の一つ「気質」

ここでの重要なキーワードは「気質」ではないでしょうか。
幽霊を読み解くためには気質についても追っていく必要性がありそうです。
求聞史紀ではさらりと「気質」という単語が使われるわけですが、東方世界における気質とは何でしょう?

実のところ幽霊に関しては「気質の具現」とざっくり且つ分かりやすい説明があるのですが、
「気質」となるとざっくりした説明はあまり見受けられない感じなのです。
殆どの作品では、幽霊は気質の具現であり、気質は幽霊である。といった感じで何も説明されていない印象だったのです。

さて、東方で気質が関係した作品といえば? と、問えば多くの人はおそらく「緋想天」と答えるのではないでしょうか?

確かに、緋想天は気質の具現である幽霊と大きく関わるストーリーではありますが、
じゃあ何で気質と幽霊は大きく関係しているんだろうという事は、
気質についてのざっくりした説明を知っていないと判り難いと思います。
むしろ、ざっくりした説明と概要が判れば、幽霊と気質、キャラの持つ天候の関係性について更に興味深くなることでしょう。

残念ながら緋想天中にはざっくりと一言で説明された気質の説明は見受けられませんでした。
しかし、そんなざっくりした説明を2ヶ所ほどで確認できたのでそれを記載しましょう。

1つ目は、花映塚での小町のエンディングに記述が確認できます。
そこでは、気質とは「魂の質」と説明されています。

ただ、多くの人にとっては次の記述の方が判りやすいかと思われます。
2つ目は、求聞口授174ページ、文々。新聞の記事に記述が確認できます。
そこでは、気質とは「本質的な意味での性格、生まれ持った物」と説明されています。

個人的な解釈でいえば「性格を作り出す元の部分」といった感じでしょうか。
ここまでで大分作品間の時が飛んでいますが、何はともあれ幽霊と気質の関係が少しは理解しやすくなった気がします。
以下に個人的な解釈による幽霊とは何かを図にしておきます。

感受性変換器のような幽霊(気質)

○各作品での霊要素を見てみる

さて、幽霊の概要について触れてみた所で早速幽霊やその他の霊が登場、
関与したエピソードを作品の出た順で書き出してみましょう。
この項目を書いたのが2015年6月になるので、深秘録のあたりまでを扱っています。
作品の数が多いので、以下に各作品の記述へと飛べるようにしておきます。
()内は主に何の霊が関与しているのかの目安です。

・妖々夢(幽霊・亡霊)
・香霖堂 第四話「完全で瀟洒なティータイム 前編」(幽霊)
・永夜抄(幽霊・亡霊)
・香霖堂 第十話「無縁塚の彼岸花」(亡霊)
・萃夢想(幽霊)
・香霖堂 第十三話「幽し光、窓の雪」(幽霊)
・香霖堂 第十四話「無々色の桜」(幽霊)
・文花帖 〜 Bohemian Archive in Japanese Red.(幽霊・亡霊・騒霊)
・花映塚(幽霊)
・三月精 〜 Eastern and Little Nature Deity. 第2話「迷いの無い巫女」(幽霊)
・六十年ぶりに紫に香る花(幽霊)
・三月精 〜 Strange and Bright Nature Deity. 第2話「幽霊の憂鬱」(幽霊)
・上海アリス通信 三精版 第6号(幽霊)
・三月精 〜 Strange and Bright Nature Deity. 第4話「異変の向こう」(幽霊)
・求聞史紀(幽霊・亡霊・騒霊・神霊)
・香霖堂 第二十三話「流行する神」(神霊)
・香霖堂 第二十五話「神社の御利益」(神霊)
・風神録(神霊)
・香霖堂 第二十七話「幸運のメカニズム」(幽霊)
・儚月抄 〜 Silent Sinner in Blue. 第六話「三神式月ロケット」(神霊)
・儚月抄 〜 Silent Sinner in Blue. 第七話「月のお姫様」(神霊)
・儚月抄 〜 Silent Sinner in Blue. 第八話「賢者の封書」(神霊)
・緋想天(幽霊)
・地霊殿(怨霊)
・儚月抄 〜 Cage in Lunatic Runagate. 第七話「半身半義」(幽霊)
・儚月抄 〜 Cage in Lunatic Runagate. 最終話「二つの望郷」(亡霊)
・The Grimoire of Marisa(霊全般)
・星蓮船(念縛霊)
・非想天則(霊全般)
・三月精 〜 Oriental Sacred Place. 第3・4話「石の下にある物」(幽霊)
・ダブルスポイラー(霊全般)
・茨歌仙 第二話「意図的に捨てられた技術と地獄」(怨霊)
・茨歌仙 第三話「罪人の金鉱床」(怨霊)
・神霊廟(神霊・欲霊)
・求聞口授(霊全般)
・茨歌仙 第十五話「見える御神体」(神霊)
・心綺楼(その他)
・輝針城(その他)
・鈴奈庵 第十六・十七話「曰く付きの艶書」(怨霊・幽霊)
・弾幕アマノジャク(亡霊・幽霊)
・鈴奈庵 第二十四・二十五話「著者不明は容易く盗まれる」(怨霊)
・茨歌仙 第二十七話「妖怪に刺さる針」(霊)
・鈴奈庵 第二十六・二十七話「狐狗狸さんは桜と共に散りぬ」(低俗霊)
・深秘録(その他)

・妖々夢(2003年8月)

Windows作品以降で、一番最初に幽霊が関与してくる作品は妖々夢になります。
この段階で既に幽霊やその他の霊の単語が見られ、後の作品の根底になる部分が色々と登場します。

まず、真っ先に幽霊に関わってくる者としては幽霊と人間のハーフである魂魄妖夢と、
亡霊の姫の西行寺幽々子を挙げる事が出来るでしょう。
両者とも冥界の中にある白玉楼の住人であり、後の作品で幽霊が絡んでくるエピソードでは度々登場する事になります。

妖々夢での魂魄妖夢。
巨大な半霊が特徴で立ち絵等でその姿を確認する事が出来る。
妖々夢での西行寺幽々子。
幽霊ではなく亡霊という種族であるが、その違いについては妖々夢中では詳述されない。

立ち絵では幽霊のようなものが周りにいる事が確認出来る。

また、妖々夢では幽霊に関する重大な事件が一つ起こっています。
それは、冥界と顕界の結界が薄くなってしまった事で相互の行き来がしやすくなったことでしょう。
そのお陰で幻想郷では幽霊や亡霊を見る機会が増え、博麗神社は霊たちの観光スポットになっているようなことが
エキストラストーリーに触れられています。

結界が薄くなってしまった原因は、霊夢がこの時の異変で結界を破ってしまった事が霊夢のストーリーモードや
魔理沙の恋符のエンディング等で伺うことが出来ます。
その後、幽々子は紫に結界の修復を依頼しますが、後の作品を見ているとどうやら直ってないらしい事を臭わせる
記述をいくつか見つけることが出来ます。

冥界と顕界を隔てている結界

他、幽霊以外の霊に関するものでは先に紹介した亡霊の西行寺幽々子、騒霊のプリズムリバー三姉妹が登場し、
咲夜の幻符エンディングでは地縛霊や怨霊といった霊の単語も登場しています。

・香霖堂 第四話「完全で瀟洒なティータイム 前編」(2004年4月)

妖々夢と永夜抄の間に連載されたこのエピソードでは、幻想郷に幽霊が増えてきた気がすると霖之助が語っています。
そして、その幽霊は陽気で楽しそうであるみたいです。
幻想郷にとっての幽霊を続けて霖之助は語ろうとしますが、咲夜が来店した事で中断し、以降は語られません。

・永夜抄(2004年8月)

永夜抄では霊がテーマに置かれているわけではないので所々軽く触れられる部分はあるものの、
そこまで突っ込んだ内容のものは無い印象です。
それでも興味深いものはあるのでいくつか抜き出してみましょう。

魔理沙&アリスのエキストラステージでは魂についての話が出てきます。
アリスの言によれば、魂は大きさを持っていないとのこと。
そして、魂と幽霊は別物であるとも言及されています。

妖夢&幽々子のエキストラステージでは、不老不死の生き肝を亡霊が食すと死ねない亡霊となって
蓬莱の輪廻は終わり、成仏も転生も出来ないし、薬も続かない。と、幽々子が語ります。

・香霖堂 第十話「無縁塚の彼岸花」(2004年10月)

当エピソードでは無縁塚が登場。
無縁塚には人や霊、奇妙な道具が落ちている。
身元不明の遺体はここに纏められて火葬され、亡霊になると言われる。

また、香霖堂第十三話ではメインの道具となり、非想天則ではシステムカードとなる人魂灯の名も登場する。

・萃夢想(2004年12月)

冥界の住人である妖夢と幽々子がプレイアブルキャラとして参戦している本作では、
東方作品における幽霊の特徴のベースとなる感じの会話や記述がいくつか確認できます。

特に、妖夢のGOODエンディングにおいての幽霊の温度は低く、生きた人間を通り抜けると、
触れた部分が軽い凍傷を引き起こす事さえあるという記述と肝試しに関する記述は、
求聞史紀の幽霊の項目にも同様の説明がされたり、後の作品にその特徴を生かしたエピソードが登場するあたり
重要なものと言えるでしょう。

また、アリスのストーリーモードのSTAGE5でのアリスと妖夢は興味深い会話をしています。
幽霊と話が出来るようになるにはどうしたらいいか? というアリスの問いに対して、
生前がどんな生き物でどんな生き方を送っていたかで、意思の疎通が出来るかどうかが決まる、と妖夢は返しています。
戦いに勝つと、-14.7℃程度の幽霊は、生前お金を貸したまま死んで悔いが残った人、というアリスの台詞が確認できます。

他には、対戦モードで幽々子が勝利した際、霊夢に対して「幽霊の素質がある」と言ったりします。

・香霖堂 第十三話「幽し光、窓の雪」(2005年2月)

香霖堂が幽霊でいっぱいの状況から始まるエピソード。
霖之助が幽霊を目の前にして色々と語ってくれるので、幽霊の特徴について知りたい場合に
読んでみて役に立つエピソードの一つであろう。

ざっと読んでみて、幽霊は温度が非常に低く、幽かな光を放っている。
幽霊が何を言っているのかは分からなくても、こちら側の声は聞こえている。
香霖堂に集まっている幽霊を観察していると、動き回る者やストーブの傍から動かない者など幽霊にも多種多様な
者がいることなどが分かる。

今回、香霖堂に集まっている幽霊は陽気で気楽な者達なようだ。
当エピソードでも幽霊と肝試しの関係について触れられ、生の温度の話がされる。

そして、当エピソードのメインであり、幽霊に関わる道具として「人魂灯」というものが登場する。
香霖堂が幽霊でいっぱいになってしまった原因で第十話のときに無縁塚で拾ってきた道具である。

人魂灯は、見た目は手のひらサイズの行灯のようなもので、無数の幽霊を誘導するのに使う道具で冥界にしか無い。
その光はどんなに離れていたり障害物があっても幽霊には見えるらしい。
幽々子はどこにいても人魂灯を灯すことが出来るようだ。

第十三話は、その人魂灯を探しに妖夢が香霖堂にやってくる話となっている。

・香霖堂 第十四話「無々色の桜」(2005年4月)

当エピソードでは幽霊についての細かい事は何も語られないが、桜と幽霊とは繋がりが深い、
とだけ霖之助が触れる。

・文花帖 〜 Bohemian Archive in Japanese Red.(2005年8月)

射命丸文の新聞である「文々。新聞」を中心に乗せる書籍、文花帖。
数多くのキャラの記事を扱う本書でも霊に関する記述はいくつか見受けられる。

34ページ、メルランの記事中では自縛霊の多い墓地では一人で演奏に行く事が多いことと、
亡霊にはんな性格の者がいる事が書かれている。

霊に関する記述では36ページでのリリカの記事と会話が興味深い。

リリカの持つキーボードは本人曰く、外の世界から無くなった音を奏でる楽器の幽霊とでもいえるものである。
音も楽器も外の世界から無くなれば幻想になり、この世から無くなれば幽霊にもなる。

音の幽霊とも言うべき物に、ヒューとかドロドロといった言葉で表される聴いたことのない非常に不思議な音がある。
昔はこの世でも普通に聴けたが、何らかの理由で今では聴けなくなった音なのかも知れない、と記事中に触れている。

騒霊と曲霊についても触れられている。
騒がしさは生き物の音で想い、感情、躁鬱の音である。
その生き物が想いを爆発させるときに出るのが騒がしさで、騒がしさだけが独立するとポルターガイストになるとリリカは語る。

曲霊とはリリカ達を生んだ音楽の霊で、感情の起伏を表現する姉達と、残りの想いを曲にするリリカ。
想いは幻想に繋がり、姉達とリリカが合わさった騒がしさは音楽の霊という生き物を創る。

38ページ、妖夢の記事(第百十九季 葉月の五)では幻想郷上空を幽霊の大群が飛んでいる事が書かれている。
この光景はこの世に遊びに来てしまった幽霊を、妖夢があの世へと連れ戻しているものである。
原因は、冥界と顕界の結界が薄くなっている中、盆の入りにより幻想郷中で迎え火が焚かれたことで
勘違いした幽霊と便乗した幽霊がこの世に下りていってしまったためである。

その時に妖夢は幽霊の取り扱い方として、絶対に餌など与えてはいけない。
一度なついてしまうとなかなか離れなくなり、下手をすると三代先まで取り憑かれる。
迂闊に触ると凍傷の危険もあるので、見てみぬ振りをするか、白玉楼か巫女まで連絡するように注意を促している。

この記事から一年後、文と妖夢の会話中で冥界と顕界の結界は一向に修復されていない事が分かる。

・花映塚(2005年8月)

花映塚のストーリーは、春なのに一年中すべての花が咲いてしまった原因を追うことである。
その光景に浮かれた妖精たちもまた騒がしくなっていた。
それらに隠れてもう一つ増えているもの……それは幽霊である。
花が増えた原因を追うことは幽霊が増えた原因を追うことでもあり、今作は幽霊について調べるのに外せないタイトルとなる。

花映塚で確認出来るゲーム中の幽霊の一例。
鳥のように羽ばたきながら飛ぶのが特徴的。

花映塚では、各キャラのストーリーで何かしら幽霊に関わっている記述が出てくるので、
これまでの作品に比べて幽霊に関する情報が膨大なものになっています。
なので、ここでは更に項目をある程度分けて記述していきたいと思います。
それでも、メインとなるところは「幽霊と花の関係」になるでしょう。

<幽霊と花の関係性>

結果から言えば、今回、幻想郷に大発生した霊は外の人の霊であり、
自分が死んだ事にさえ気付いていない霊か、死んだとは気がつきたくない霊である。
そのような霊は不安定で体を持ちたがる。
行き場を失った霊は花を拠り所にした、幻想郷に花が咲き乱れる事になった。

花は性格、魂の質を表す植物であり、霊とは相性が良い。
向日葵には明るかった人間の霊が宿り、彼岸花には友人のいない寂しい霊が宿る。
紫の桜は罪深い人間の霊が宿る花。

幽霊は花さえ咲かせれば、まだ生きているつもりでいられる、と映姫は語る。(霊夢ストーリーモード)

紫の桜は罪を犯した者が咲かす花で、許されぬ罪は、赤い血を紫色に染め、そしてすぐに散る。
紫の桜の霊を閻魔は無間へと落とす。

花は、外の人間が見る幻の彼岸。
死んだことにさえ気が付いていない、哀れな霊の花。
行き場を失った幽霊が増えれば、結果としてこうなる。
60年に一度ほどこういう事が繰り返される。と、映姫は語る。(妖夢ストーリーモード)

紫の桜の霊達は記事に書かれたがっている。
罪を認め、解放されたいのだろう。と、映姫は語る。(文ストーリーモード・STAGE9で負けたとき)

桜は罪を吸収し、時間をかけて土に還してくれる。
そのお陰で罪を犯した者の霊が集まる、と、霊夢は語る。(ミスティアストーリーモード・エンディング)

花が目出度いのに死の象徴でもある理由は、人間と同じだから。
霊が宿り、花が咲き、霊が去ると花が散る。と、幽香は語る(幽香ストーリーモード・咲夜戦で勝ったとき)

紫の桜は、軫念の花を咲かせ、追念の花びらを散らす。
散った花は長い時間を掛けて土に還り、
再び花を咲かせるでしょう。
これは罪の輪廻なのです。
そう、六十年で一回りする運命。
彼岸桜が多いだけ、罪人が多く死んでいる。(幽香ストーリーモード・映姫の台詞)

桜は……本当は白色になりたいと思っている。と、映姫は語る(幽香ストーリーモード・STAGE9で負けたとき)

向日葵に憑いた霊は陽気な霊ばかりだから、近いうちに死んだことに気付く。
気が鬱いでない者は、視野が広い。
だから順応性も高い。と、小町は語る。(小町ストーリーモード・STAGE7)

無縁塚の桜に宿る者の罪は、外の世界の犯罪とは無関係のもの。
法律は人間が決めた約束であり、法で裁けない罪を閻魔は裁く。
紫の桜の下は罪を持った霊でいっぱい。
徳のある霊から順番に彼岸に帰すので、無縁塚の桜が元に戻るのは一番最後になる。
無縁塚の桜に限らず最後まで残るのは桜の花。
桜だけが残ったとき、初めて幻想郷は新たな暦を読み始めるでしょう。
今年は六十年に一度訪れる「生れ変わり」の年。
言うなれば、幻想郷の「還暦」
そして桜の花は死と共に再生を意味する。と、映姫は語る(映姫ストーリーモード・STAGE9)

明るかった人間の霊が宿る向日葵
友人のいない寂しい霊が宿る彼岸花
罪深い人間の霊が宿る紫の桜

魔法の森には花が咲いていない。外の人間の霊も魔法の森は避けることを魔理沙ストーリーモードのエンディングで確認出来る。

ざっくりと花と幽霊に関する台詞等を書き出してみたわけですが、紫の桜に関する台詞が多めの印象です。
映姫が語るところによれば、花は性格、魂の質を表す植物と言及されており、魂の質は気質でもあるので、
幽霊、花、そして緋想天で出る事になる天候等と合わせればより考察や妄想が捗りそうなところです。

<幽霊と小町と映姫>

妖々夢で登場した妖夢と幽々子に続いて、花映塚で登場した小野塚小町と四季映姫・ヤマザナドゥもまた
幽霊とは繋がりの深いキャラクターとなります。

小野塚小町は死神で、幻想郷と彼岸との間の河を渡している。
今回、幻想郷が花で埋め尽くされた原因の一端は、死者の魂が多過ぎて彼女の仕事の許容量をオーバーしてしまった事にある。
小町がマイペースに仕事をする中、冥界に渡れない霊魂達は幻想郷に取り残され、身近な花へと身を寄せたのだ。

四季映姫・ヤマザナドゥは閻魔で、死者の罪を咎め地獄か天界かそれとも別の所の何処へ行くのかを判断している。
ヤマザナドゥは役職名のようなものである。
小町がなかなか死者を運んでこないので怪しく思い幻想郷へと赴いてみたら既に花でいっぱいだった。

二人の幽霊に関する会話は殆どが今回の花と関係したものであるが、それ以外の幽霊に関する情報も勿論ある。

妖夢ストーリーモードでは、妖夢の使う剣について小町が指摘する会話がある。
閻魔の裁きを受けていない霊を斬ってしまうと、正式には死んでいないので二度と輪廻転生できなくなる。
それは外の世界の子供の数が減る事を意味する。と、語られる。

<幽霊に影響を与えるものと与えられるもの>

花映塚のメインとなる部分は咲き乱れている花と大量の幽霊になりますが、
一部のキャラのストーリーモードでは、自身が幽霊に何らかの影響を与えたり与えられたりするものがあります。
ここでは、そういった感じの会話や記述を書き出していこうと思います。

リリカのストーリーモードでは、騒霊の存在理由として物にも霊が宿ると言うことを、
鈍感な人間にも教えるという事と記述があります。

ミスティアのストーリーモードでは、歌と幽霊に関する会話が確認できます。
内から出るのではなく幽かな声を歌にしているだけの状態で歌っていると、
霊の声を拾ってどんどんと手に負えない相手に出くわすと幽香は言います。

また、映姫は、歌は、時には霊を鎮め、時には活性化する。
何も考えてない歌を続ければ周りの霊達もおかしくなる。
それは、未曾有の大罪に繋がるかも知れない。と、言っています。

メディスンのストーリーモードでは、道具と幽霊に関する会話が確認できます。
人形のような道具は人の霊が宿りやすい、と小町は言います。

道具は本人がどう思おうと、使用者は一方的に愛情を込めたり憎しみを込めたりする。
時には名前を付けられ、時には形を変えられ、全て使用者の意思で道具は使われる。
道具は、人間の思いを一方的に押しつけられる。

この時の無縁塚は死んだことに気づいていない霊が多いので、
メディスンのような道具は不安定な意思に取り込まれてしまう恐れがあると、映姫は警告しています。

・三月精 〜 Eastern and Little Nature Deity. 第2話「迷いの無い巫女」(2005年9月)

彼岸になると幽霊が増える。
昼と夜の長さが同じになる頃で、お日様とお月様が同じ強さだから幽かな力のモノでも表にでてこれる、
と、サニーミルクは語る。

また、霊夢からは、神社からみると鳥居から日が昇り墓地の方角に日が落ちる。
この時期日の出が鳥居を通して昇ることでお日様が最も力を持ってそれが墓地に沈むことによって霊の力を抑える、
と語られます。

・六十年ぶりに紫に香る花(東方紫香花にて掲載・2005年10月)

ストーリーは、そのまま花映塚から続くものになっています。
花映塚本編中でも触れられる通り、60年前に幽霊が大発生したことについて幽々子が触れています。
また、この話では幽霊について調べていると行き当たる「気質」についても紫が語っているのでその部分を書き出してみましょう。

『三精』は気質を示す。
お日様には人を惹きつける絶対的な魅力と、お月様もお星様も消してしまうという傲慢さを持つ。
お月様は満ち欠けで自らの姿を変えるところに、協調性と優柔不断さを持つ。
お星様は動かない北極星から、動きに惑いを見せる惑星、一瞬だけ顔を見せる流星、と多様性と非協調性を持つ。
三つを併せて『三精』と呼び、それが自然の気質を表す属性の一系統にあたる。

他、四季、五行で生命、物質を表現。前述の三精との組み合わせで自然を表すことが出来るようです。

各属性は順番に回ることでバランスを取ろうとする。
三精なら日、月、星、日、月……、他も同様。
花映塚の年は日と春と土。意味は、あらゆる物の再生、とあります。

・三月精 〜 Strange and Bright Nature Deity. 第2話「幽霊の憂鬱」(2006年7月)

タイトル通り幽霊がメインの回。
以下にざっと話の流れを書き出して見ましょう。

暑いので幽霊狩りを考える三妖精。
ルナチャイルドは虫捕り装備、スターサファイアは釣り装備、サニーミルクはさすまた装備で出撃。
幽霊は網や籠をすり抜けるため、去年は失敗した。

幽霊は不気味な家(廃墟)(弟切荘)には捕まっている。
ならば幽霊が集まる場所はどこかとサニーは考える。
その答えは「墓地」。
ということで、卒塔婆が幽霊釣りには最適であるとサニーは解答する。
結果は見事に成功したのであった。

一方、博麗神社では……
妖夢が、最近幽霊をおもちゃにする人が多いのだと霊夢と魔理沙に話している。
おもちゃにしてる人とは霊夢と魔理沙当人たちであり、傍にはお札の張られた瓶に幽霊が入っている。

お札には、霊夢曰く幽霊が勝手に通り抜けないようにありがたいお言葉が一杯書いてあるらしい。
魔理沙からは、幽霊が喜ぶような怪談がびっしり書いてある、とのこと。
幽霊は怪談好きらしく、怪談をはじめると集まりたがるようである。
実際は怪談が書いてあるわけではなく、霊夢によるありがた〜いお言葉が書いてあるようだ。

結局、幽霊をおもちゃにしないでくれという妖夢の言葉は二人には届かない。
挙句、除湿の出来る幽霊はいないのか? などと問われてしまう。
妖夢は、幽霊はジメッとした所が好きなのだと答えてしまうのであった。

・上海アリス通信 三精版 第6号(2006年7月・単行本未収録)

コンプエース連載時に三月精本編と一緒に掲載されていたものであり、
幽霊について書かれている文献であるのだが、残念ながら単行本には収録されなかった。
以下にざっくりと内容を書き出してみる。
大体は求聞史紀中でも見られる内容であり、幽霊の特徴を知りたい分には求聞史紀でも困らない印象である。

この時点での幻想郷で、1匹では力はなくとも数が多く我が物顔にふるまっているのが、妖精と幽霊。

幽霊は妖精に負けず劣らずあらゆる場所に出没する。
さらにあらゆる物体をすり抜けるという厄介な生き物(?)である。
ほとんどの幽霊は口を利くことができないし、はっきりとした姿形を持つこともできないし、悪戯することも無い。
強いていえば鬱陶しいだけの存在。

幽霊は温度が低い。
何か幽霊が出そうな時にゾクっとしたりするのも、幽霊の温度が低いからである。
この幽霊の特性を有効利用したのが、肝試しである。
暑い夏に肝試しをして涼んだりするのは、昔の人の智慧なのだ。

幻想郷も昔から幽霊が多かったわけではない。
幽霊が何処でも見られるようになったのは、つい最近(三月精第2話時点基準)のことである。
というのも、冥界と顕界の境界が、境界の妖怪の力によって曖昧になっているからだ。
今では当たり前のように幽霊が幻想郷に押し寄せてきたり、生きたまま冥界に行ったりするようになっている。

また、同じ紙面上にある天声神語には以下のような感じに記述されている。

東方の幽霊は全く怖くない。
何故なら、幽霊ってのは、生命力の具現みたいなもんで、別に人間に危害を与えるとは限らないから。

そもそも、何故人間は幽霊を恐れるのか。幽霊は人間に危害を与えるのか。
恐らく、人間にとって幽霊の象徴は死者の魂であり、
出てくる筈の無い存在だから、常識が壊れるのを恐れているのだろう。

幽霊は、幽霊が居るのが当たり前の世界なら、恐れる必要の無い存在である。
せいぜい、悪い人間の霊なら悪い人間と同程度気を付ければ十分。

・三月精 〜 Strange and Bright Nature Deity. 第4話「異変の向こう」(2006年12月)

小町から幽霊の量に関する台詞がある。

この年は三途の河を渡る幽霊の量が少なかった。
小町はどちらかと言うと縁起の悪い状態だと言う。
というのも、正常な輪廻転生は変わらぬ量の幽霊で安定するためである。

そして、この年は妖怪の活動も活発ではなかったのも小町は気に掛かるらしい。
メタな事を言うと2006年は東方のゲーム作品が出ていない年であった。

・求聞史紀(2006年12月)

幽霊そのものに関する記述や、その他の霊、亡霊や神霊などについても触れられている。
当然、その情報量も多いので、ここでは霊に関連しそうなものを簡単に書き出してみようと思う。

<魂魄 妖夢>

半霊の部分は半人半霊の意思で動き、 体温もさほど冷たくないと、書かれている。
楼観剣と白楼剣についても記載されている。

<プリズムリバー三姉妹>

ルナサ、メルラン、リリカと個々に項目があるが、ここでは騒霊に関する記述がある。
ここで書かれる騒霊の記述を簡単にまとめてみよう。

騒霊とは、別名ポルターガイストとも呼ばれ、一言で言うと単に騒がしい霊である。
また、騒霊の出す音は、唯の音ではなく音の幽霊であるのだ。
その響きは耳ではなく精神に響く為、肉体の無い者にも好まれる。
それと同時に、人間には影響が強すぎる事もあるので注意。
騒霊は静かな場所でジッとしている事が出来ない。

<亡霊>

幽々子の種族である亡霊についても独立した項目として存在する。
詳しい記述は求聞史紀そのものを読んで頂きたいが、
幽霊との違いは、生きていた頃の人間の姿をとり、人間以外からは亡霊になる事はない事である。

<西行寺 幽々子>

ここでは、幽々子と幽霊が関係する事件として「幽霊移民計画」なるものが登場する。
また、家事専属の幽霊がいたり、用事がある時に使いに出す幽霊がいる事が触れられる。

<神霊>

神霊についてまともな記述が出てくるのは、おそらく求聞史紀が一番最初であろう。
しかし、まだ話のメインとしては登場して無い存在であり、この時点ではいまいち漠としたイメージしか持てなかったと思う。

ここでは、亡霊の内、神として崇められている者を神霊と呼ぶ、とある。
また、神霊と信仰の関係、巫女と神社の役割についても説明されている。

<死神>

主に死神の仕事と幽霊の関係性について触れられている。

<外来人>

幽霊を見ると一目散に逃げる。

<森近 霖之助>

人間の姿が映っていた物は霊が宿りやすい事が書かれていて、
その一例にテレビジョンが霊気入れとして役に立っていることが書かれている。

<幻想郷の危険区域案内>

遭遇する妖怪の中に幽霊や亡霊が含まれている場所として、人間の里、中有の道、三途の河、無名の丘、冥界、
白玉楼、再思の道、無縁塚が登場する。

・香霖堂 第二十三話「流行する神」(2007年2月)

霊夢や魔理沙、人間の里に住む住人が流行病に冒されているお話。
ここに求聞史紀での一項目として出て来た神霊がほぼ名前だけだが登場する。

秋の収穫までは外で活動している神を穀霊という。
次の春の農事始めまで宿る場所は納戸である。
ただの物置である納戸は、たちまち神聖な場所となり、その神々しさに引き戸が重く感じられる、と霖之助は語る。

霊夢は伴善男様という神様を今回の流行病を鎮めるのに利用する。所謂、流行神で神霊。
よく疫病の祟り神役を引き受けるらしい。
何かしら信仰を集めてる状態の神霊は力を持つが、忘れ去られた神霊は力を持たなくなってしまう、とも語る。

・香霖堂 第二十五話「神社の御利益」(2007年6月)

このエピソードでは、霖之助から神霊と御利益の関係についてお酒を例にして語られる。

すべての物には神霊は宿ると言うが、厳密に言うとその言い方は間違いである。
すべての物に宿るのではなく、”名前が付けられる前の物体”が神霊である。
名前の無い物体が神霊そのもので、それに名前を付けることで神霊の力の一部を借りる事になる。

神霊は妖怪と違って常に”二つの性格”を持っている。
その二つの性格はそれぞれ、和(にぎ)と荒(あら)と呼ばれていて、
このうち和が人間に対して優しい性格で、これが通常、御利益と呼ばれる。

神霊はすべてのものの元であり、神霊の性格はものの性格である。
神霊の感情と力がそのまま物質に現れる。
お酒の神様が力を持てば、自然とお酒も良いお酒になる。

和にはさらに二つに分かれて、幸(さき)と奇(くし)という性格に分かれる。
幸は人の心をみたし、奇は知識を授ける。
お酒の神様で例えると、幸はお酒の味や香りを良くし、奇は新しいお酒の技術を授けてくれる。

荒は神霊の怒りであり、祟りとなって現れる部分。
お酒の神様で例えると、お酒が不味くなるどころか、
毒に変化したり同じ場所で二度とお酒を作る事が出来ないような自体になりかねない。

神様には程度の差こそあれ、必ず和と荒の二つの性格が存在する。

神霊、つまり幻想郷に存在するすべてのものには、良い面と悪い面の二つの面が有る。
荒の性格が悪いものと言う訳ではない。

荒の性格こそが神霊の本当の力である。
この荒を祀る事で、悪い面から人間を守る事に繋がる。
つまり、お酒造りを邪魔する外敵からお酒を守ってくれる。

結論を言うと御利益というのは、荒の性格を鎮め、
和の性格に感謝する事で神様の力を増す事を言う。

・風神録(2007年8月)

風神録内では言及されないものの後に種族が神霊と言及される八坂神奈子と、神霊とも同義の東風谷早苗が登場する。

東風谷 早苗。
現人神であり人間。
八坂 神奈子。

守矢神社の主要な登場人物としては他に洩矢諏訪子が登場するが、こちらは八百万の神であるようだ。

・香霖堂 第二十七話「幸運のメカニズム」(2007年10月)

数年ほど前から、季節の変わり目になると何故か幽霊が増加するので、
この時期に霊夢たちが幽霊を片付けて回るのが恒例行事の様になっている。
と、霖之助は語っている。
また、60年以上前にも幽霊が増加した時期が有った事についても触れている。

幽霊は騒々しい処に集まりやすいらしく、香霖堂に現れる事は少ないらしい。

・儚月抄 〜 Silent Sinner in Blue. 第六話「三神式月ロケット」(2007年11月)

ここでは、霊夢から日本の神様の性質についての記述があり、神霊について触れられている。

神様は何分割しようと元の神様と同じ力を持つ。
神様の宿る場所さえあれば無限に神様を増やすことができる。
神様と言っても主に神霊のことではあるが、神霊は精神を示す。
精神の字に神の字が含まれるように考え方は人に伝播しても減らないし無限に増やすことができる。

巫女に神様が宿るというのは、その神様の性質を持つということである。
大勢の神様を宿らせてしまうと、神様同士で喧嘩を始めてしまったりするらしい。

神奈子等のように肉体を持っている神様は自分の神霊を分霊させる。
神様の肉体と神霊の関係は本体と生き霊みたいなものである。
生き霊はいくつにでも分かれるが、本体は増えたりしない。

・儚月抄 〜 Silent Sinner in Blue. 第七話「月のお姫様」(2007年12月)

神霊に関係する人物として綿月依姫が登場する。

綿月 依姫。
二つ名は「神霊の依り憑く月の姫」。

・儚月抄 〜 Silent Sinner in Blue. 第八話「賢者の封書」(2008年1月)

依姫は神霊を呼ぶことが出来ると豊姫が触れている。

・緋想天(2008年5月)

この作品では、幽霊を理解する上で重要となる「気質」が大きく関わってくるストーリー、ゲームシステムとなっている。

簡単にストーリーを説明すると、各キャラに日照りや雨、霧といったそれぞれ違う異常気象が起きている。
その異常気象が起こる原因を追って各々調査を開始するといった感じになっている。

その異常気象は比那名居天子の持っていた緋想の剣によって引き起こされていた事がストーリーを進めていくと判明する。

<緋想の剣>

能力:気質を見極める程度の能力

緋想の剣は、必ず相手の弱点を突く事が出来る、天人にしか扱えない剣である。
この剣はまず相手の気質を霧に変え、誰の目にも見えるような形に変える。
そして、その気質の弱点である性質を纏う。

緋想の剣が見せる気質の形とは、天気の事である。
緋想の剣で斬られた気質は緋色の霧となり、天気を変えるのである。

と、説明されている。

<各キャラの持つ天気とその意味>

主に天気とゲーム中効果に関する記述。
魔法使いにとって気質は重要なものらしく、パチュリーの対戦台詞ではそれぞれのキャラが持つ天候について説明される。
また、幽霊と気質の関係は深いためか、小町のストーリーモードで戦う一部のキャラには幽霊診断がされる。

博麗 霊夢:
快晴 空を飛ぶ程度の天気
ゲーム中の効果は、飛翔角度の強化、飛翔の消費霊力減少、回避結界のコスト免除。
パチュリーの対戦台詞では、雲一つ無い快晴は、時として生物に害を為す。日光は避けられない有害な物の一つ。
小町の幽霊診断では、快晴って事は有害な日光も地上の生気も全て素通りだ。昼は暑く、夜は冷える。
曲がった事をしないが、融通も利かないし無慈悲で優しさの欠片もない。

霧雨 魔理沙:
霧雨 スペルはパワー程度の天気
ゲーム中の効果は、スペルカードの威力増加。
パチュリーの対戦台詞では、大気を湿らす霧雨は、本にとって大敵。貴方の部屋も端から黴びていくんじゃない?
小町の幽霊診断では、霧雨は薄く、暗く目立たないが、優しさを持っている。決して主役にはなり得ない幽霊になるだろう。
成仏も転生も出来ず、ただひたすら彼岸で裁かれるのを待ち続ける幽霊。

十六夜 咲夜:
曇天 符を器用に扱う程度の天気
ゲーム中の効果は、コスト2以上はカードコスト-1、カードゲージ増加速度2倍。
パチュリーの対戦台詞では、有害光線を遮る曇天は、決して目立たずに地味。でも、生き物には最も優しい天気でもある。
小町の幽霊診断では、曇りってのは華やかさも豊かさも無いが、有害な光を避け、生活のし易さでは抜群。
根っから器用な気質を持ってる。
器用な幽霊の殆どは、生きていた時は処世術に長け、何一つ不自由なく暮らしている。
だが、彼岸に渡り裁判を受ける時に、そのテクニックが徒となって良い判決が出ない。

アリス・マーガトロイド:
雹 霊力が強まる程度の天気
ゲーム中の効果は、霊力回復速度上昇、必殺技強化。
パチュリーの対戦台詞では、暑いはずの夏に落ちてくる雹は、周りの空気に馴染めない天気。被害を与える以外の効果はない。

パチュリー・ノーレッジ:
花曇 打撃が使えなくなる程度の天気
ゲーム中の効果は、A使用不可、霊力回復開始と回復速度が速まる。

魂魄 妖夢:
蒼天 連繋が鋭くなる程度の天気
ゲーム中の効果は、必殺技を別の必殺技でキャンセル可。
パチュリーの対戦台詞では、空の色が濃い蒼天は、陽の光を拡散させようとする大気の足掻き。でも殆ど素通りなのよね。
小町の幽霊診断では、蒼天は活動の象徴にして空虚。生きたままその気質を得るのは大変だが死んだ者には多い気質。
心にぽっかりと穴の空いた幽霊になるかも。

レミリア・スカーレット:
濃霧 吸血鬼っぽくなる程度の天気
ゲーム中の効果は、攻撃するたびに体力吸収。
パチュリーの対戦台詞では、人の視力を奪う濃霧は、一切の行動力をも失わせる。それは死を意味しているのよね。

西行寺 幽々子:
雪 幽霊っぽくなる程度の天気
ゲーム中の効果は、攻撃をヒットorガードさせると相手のカードゲージ減少、1枚分ゲージを減らすとカード破壊。
パチュリーの対戦台詞では、地面に残り続ける雪は、目立とうとする邪心。雨と雪は殆ど変わらない筈なのに。

八雲 紫:
天気雨 防御が怪しくなる程度の天気
ゲーム中の効果は、ガード方向ミスで即クラッシュ、クラッシュした霊力の回復速度上昇。
パチュリーの対戦台詞では、晴れているのに降る天気雨は、人を欺く天気。狐の嫁入りっていう位だしね。

伊吹 萃香:
疎雨 必殺技全開になる程度の天気
ゲーム中の効果は、全ての必殺技のレベルがMAXになる。
パチュリーの対戦台詞では、まばらに降る疎雨は、霧雨とは異なり大粒の雨。貴方もまた凄風疎雨の天、住処に戻ったらどう?

鈴仙・優曇華院・イナバ:
晴嵐 符が見えなくなる程度の天気
ゲーム中の効果は、カードゲージが見えなくなる。
パチュリーの対戦台詞では、晴れた日に吹く晴嵐は、初夏に良く見る強い風。心地は良いけど、山の気も麓に吹き下ろしてしまう。
小町の幽霊診断では、風は心のバランスが悪い者に現れる気質。相手によって態度を変えたりする幽霊。
世渡りが上手ではあるが、反面心の病にも冒されやすい。
鈴仙の空は晴れている。迷いは特に無い。

射命丸 文:
風雨 空中戦に強くなる程度の天気
ゲーム中の効果は、空中移動回数の増加、一部打撃技がHJC可能になる。
パチュリーの対戦台詞では、最も弱者に優しくない風雨は、自然淘汰の天気。疾風勁草、それがこの世の摂理。

小野塚 小町:
川霧 距離が変になる程度の天気
ゲーム中の効果は、一定距離を保つように引力・斥力が働く。
パチュリーの対戦台詞では、水と空気の温度差が生む川霧は、宵の口に現れる霧。まさに死の世界への渡し船って事ね。

永江 衣玖:
台風 勝負が荒れる程度の天気
ゲーム中の効果は、ガード使用不可、仰け反りなし。
パチュリーの対戦台詞では、台風は言わずと知れた野分の風の事。前もって準備は出来るから、実は上陸前が一番怖い。

比那名居 天子:
極光 何が起こるか不明程度の天気
ゲーム中の効果は、ランダムでどれかの天候と同じ効果。
パチュリーの対戦台詞では、七色のカーテン!? まだまだ見た事のない空の色があるのね。

・地霊殿(2008年8月)

一度倒壊した博麗神社も復興して落ち着いていた冬のある日。
博麗神社の近くに間欠泉が湧き上がる。
温泉水と一緒に地霊も湧き上がってきているのだが、大人しいので温泉を取ることにした霊夢。
しかし、地霊の中に怨霊が混じっている事に気付いたパチュリーや紫をはじめとした妖怪達は、
霊夢ら人間達を地底へと調査に向かわせるのであった。

地霊殿では、霊の中でも特に「怨霊」が関係するストーリーになっている。

<怨霊とは>

怨霊は恨みだけが一人歩きした幽霊で、取り憑かれると人間も妖怪もこの世を怨むようになる。
と、魔理沙・アリスサポートのストーリーモードにおいてお燐より語られる。

魔理沙・パチュリーサポートでは、怨霊は生き物、いや生き物以外にも取り憑き恨みを生むとパチュリーより語られる。
同エンディングにおいては当作品で最も怨霊について詳しく触れている。

怨霊とは、もとを正せばどうやら三途の川を渡り損ねた幽霊である。
死神に魂を持って行かれる前に、死体を妖怪に持って行かれてしまうと怨霊になる。
特に、火車と呼ばれる猫に死体を持って行かれると怨霊にされてしまう。

幽霊との見分け方は、触って冷たい方が幽霊で熱い方が怨霊。

怨霊単体では見た感じ暢気な幽霊であるが、怨霊が何かに取り憑いた時に世の中を怨む者になってしまうらしい。

パチュリーのキャラ設定では、怨霊は幽霊と違い世の中を怨んでいる霊である。
人間や妖精、妖怪達に害をなす者である、と書かれている。

<地底と怨霊の関係>

鬼は地上の人間に嫌気が差して自ら去り、余った地獄の土地に新しい社会を築いた。

鬼達はこの他にも地上で嫌われた妖怪達を率先して受け入れた。
この事に危険を感じた地上の妖怪達は、新しい地下都市を認める代わりにある条件を出した。

それは地獄の怨霊を封じる事である。
それをする代わりに如何なる妖怪も地下都市には入らせないと約束をしたと、勇儀のキャラ設定にある。

地底都市は地獄から切り離されたが、未だ地獄の施設があった場所には多くの浮かばれない霊達が残っており、
それらを管理する者を必要とした。
灼熱地獄跡の上には地霊殿が建てられ、そこにはさとりが住む事になった。
彼女は心を読む事が出来る為、如何なる妖怪、怨霊からも恐れられ、いつしか地霊殿に訪れる者は殆ど居なくなっていた。

さとりは、口が上手く、死体や霊と自由に会話が出来るお燐に灼熱地獄跡で怨霊の管理を任せている。

・儚月抄 〜 Cage in Lunatic Runagate. 第七話「半身半義」(2008年12月)

ここでは、妖夢より転生待ちをしている幽霊達について語られている。

冥界は転生待ちの霊達が住まう場所である。
転生が許されているという事は、比較的善良な霊達ばかりであるが、転生先は人間とは限らない。
獣や猛禽ならまだマシな方である。百足とか下賎な虫に転生するかも知れない。
そんな転生先の心配も感じられない幽霊達は、今日も暢気に冥界観光をしている。暢気なもんだ。

・儚月抄 〜 Cage in Lunatic Runagate. 最終話「二つの望郷」(2009年3月 - 2009年6月)

ここでは、亡霊について書かれている。

月の都では決して存在せず、地上の人間なら多くの人が見たことのある存在。
夜の神社、柳の下、かつては人が集った廃校跡、廃病院……。
慣れた人なら昼間でも街中や自宅などで、そこかしこで見ることが出来るだろう。

亡霊は元々浄土に住む者である。
つまりは生死に関わる穢れが少なく、その結果そこに居たという痕跡を残さずに行動する事が出来る。
紫はその特性を利用して幽々子を月の都へと導いた。

窓から覗く亡霊の姿に、綿月姉妹は気付く事が無かった。

・The Grimoire of Marisa(2009年7月)

魔理沙から見たスペルカードのメモを纏めた感じの書籍。
ここでは、その中でも霊が関わっていそうな項目を羅列しておく。

P033 「狐狗狸さんの契約」
P036 国符「三種の神器 玉」
P037 死歌「八重霧の渡し」
P038 恨符「未練がましい緊縛霊」
P054 騒符「ライブポルターガイスト」
P055 管霊「ヒノファンタズム」
P055 冥鍵「ファツィオーリ冥奏」
P071 恨霊「スプリーンイーター」
P072 贖罪「旧地獄の針山」
P073 呪精「ゾンビフェアリー」
P093 呪符「ストロードールカミカゼ」
P124 亡郷「忘我郷」

・星蓮船(2009年8月)

霊要素として関わってくるのは、せいぜい舟幽霊の村紗水蜜くらいであろうか。
水難事故の念縛霊で遥か昔、海で舟が転覆して亡くなった人間の霊、とのこと。

・非想天則(2009年8月)

主に対戦台詞中に霊要素のあるものが確認出来る。
ここではそんな感じの台詞を抜き出してみよう。

<博麗 霊夢>

VSアリス(緋想天と共通の台詞)
「ちゃんと人形供養してる?
 人の形をした物には色んな物が宿るわよ?」

VS妖夢
「今度、うちで肝試しするから是非来てよ
 お化けに威かされ役で」

VS妖夢(緋想天と共通の台詞)
「暑いわねぇ
 幽霊の一つや二つ貸し出してくれないの?」

VS幽々子
「幽霊の集まりやすい場所って
 何だか暗くてジメジメした場所ばかりよねぇ」

<霧雨 魔理沙>

VS小町
「お前の舟は沈みやすいのか?
 いや、幽霊の乗った舟は良く沈みやすいとか
 聞いたんでね
 幽霊全般じゃなくて、特定の奴だけの話かも
 知れないが」

<アリス・マーガトロイド>

VS妖夢(緋想天と共通の台詞)
「躰と幽霊が繋がっている糸も人形を操る糸も同じ糸
 決して切れない心の手綱ね」

VS幽々子(緋想天と共通の台詞)
「よく柳の下でぼーっと立っている亡霊って何?
 街頭販売か何か?」

<パチュリー・ノーレッジ>

VS妖夢
「幽霊の存在を魔法で説明するのは、魔法の勉強の
 初歩として丁度良い」

<魂魄 妖夢>

VS紫
「ところで、この世とあの世の境界は
 曖昧なままで良いんでしょうか?」

VS小町
「三途の河にいる子供の霊は助けないんですか?
 あそこに行くといつも気になるのです」

<レミリア・スカーレット>

VS妖夢(緋想天と共通の台詞)
「何か、幽霊を使った冷房がトレンドって
 噂を聞いたけど……」

VS幽々子
「亡霊って今までゾンビだと思ってたけど
 違うみたいね。ミイラ男って何処にいるのかな」

<西行寺 幽々子>

VSアリス(緋想天と共通の台詞)
「人形なんて何匹死んでも何とも思わないものね
 むしろ、霊が宿る前に爆発させるなんて賢いわ」

VS文(緋想天と共通の台詞)
「幽霊の為の新聞とかあれば面白そうね
 どう、やってみない?」

<八雲 紫>

VSアリス(緋想天と共通の台詞)
「人の形をした物には心が宿る
 それは妖怪と何が違うのかしら?」

VS文(緋想天と共通の台詞)
「人の形をした物には心が宿る
 写真だって例外じゃないわよ」

<鈴仙・優曇華院・イナバ>

VS妖夢(緋想天と共通の台詞)
「人間が見る幽霊の三分の一は恐怖から来る幻覚
 でも、殆どの人間は九割幻覚だと思い込むの」

VS幽々子(緋想天と共通の台詞)
「怨霊の眼には何が見えているのでしょう?
 何故、人を襲う事が出来るのでしょう?」

<小野塚 小町>

VSアリス(緋想天と共通の台詞)
「首を吊ると小さな幽霊になってしまう
 頭と躰の間が細くなるからねぇ」

VS空
「今の地獄は鬼達の統制が取れた
 不正の少ない処となった
 旧地獄の鬼達は罪人との癒着が酷かったからね
 地獄から出たがらない霊も居たくらいさ
 お前さんもそんな地獄より、新しい地獄で
 働き口を見つけてみたらどうだい?」

<東風谷 早苗>

VS妖夢
「その大きなマシュマロみたいなの
 どういう味がするのか想像するだけで楽しいです」

<チルノ>

VS妖夢
「幽霊はいまいち相性が悪い……」

VS幽々子
「幽霊はどうも調子狂うなぁ……」

<霊烏路 空>

VS幽々子
「怨霊に見慣れた私には、普通の幽霊が
 新鮮に見えるわ」

VS幽々子
「怨霊は……
人当たりが良いのに、本性は
悪い奴ばかりだからね
ま、地獄に落ちた奴の末路なんて
怨霊になって焼かれ続ける位のもんさ」

<洩矢 諏訪子>

VS妖夢
「幽霊は神社に近寄らない方が良いかもねー」

VS幽々子
「亡霊をずっと放って置くなんて
 あの世には神様は居ないのかもね」

VS諏訪子
「神様は無限に分けられるのよね〜」

<新しく追加されたキャラの天気と効果>

東風谷 早苗:
凪 傷が癒える程度の天気
ゲーム中の効果は、攻撃を当てると体力が徐々に回復するスポットライトが当たる。

チルノ:
ダイヤモンドダスト 眠ったら死ぬ程度の天気
ゲーム中の効果は、全てのダウン判定の発生と同時に根性値を無視した500の固定ダメージを受ける。

紅 美鈴:
黄砂 カウンターヒット程度の天気
ゲーム中の効果は、全ての与CH属性が冬された攻撃が自分または相手にHitした場合、
相手の被CH判定の有無にかかわらずその攻撃がCHする。

霊烏路 空:
烈日 全てを焼き尽くす程度の天気
ゲーム中の効果は、高度により攻撃力増加。

洩矢 諏訪子:
梅雨 大地に弾かれる程度の天気
ゲーム中の効果は、バウンド効果のレベル上昇。

・三月精 〜 Oriental Sacred Place. 第3・4話「石の下にある物」(2009年8月 - 2009年9月)

幽霊や妖怪など見慣れすぎて怖がる事を忘れている気がする、という理由で肝試しをやる事になる話。

肝試しの話に入る前に、魔理沙は博麗神社の拝殿の中に入って幽霊が集まりそうな不吉な物とかを探していた。

肝試し中、神社から人里へ向かう用水路と柳の木で待機する三妖精。
サニーは自分の乗っている石が光る事に気付く。
石をどかすと幽霊の大群が湧くのだった。

その石は墓地にあった墓石であり、魔理沙が持ってきたものであった。
目的は西瓜を冷やしておくためである。

・ダブルスポイラー(2010年3月)

ここでは、霊に関係しそうな文とはたてのコメントを抜き出しておこうと思う。

<LEVEL5-2 通常弾幕:村紗 水蜜>

はたてのコメント
「あー、舟幽霊が底のない柄杓を持ってるよー?
 柄杓で船に水を入れる幽霊じゃなかったっけ?
 底がないんじゃ、水を入れられないじゃん」

<LEVEL5-8 「ディープシンカー」:村紗 水蜜>

文のコメント
「浮かばれないですね! 水死体の幽霊って
 こういった悲劇の影には計り知れないエネルギーを感じます
 能天気な記事ばかりなので、偶には惨憺たる記事も欲しいかも」

はたてのコメント
「いくら水兵さんのかっこしてても、やっぱり幽霊なんだねー
 幽霊は写真に写りにくいの。世の中の心霊写真なんて大嘘よね
 本物の幽霊はぶれて写りにくいしー」

<LEVEL10-7 「全人類の緋想天」:比那名居 天子>

文のコメント
「人間の気性がダダ洩れの瞬間を捉えました!
 熱いかと思いきやそうでも無いんですね
 その代わり人間の匂いと味が写真からペシペシ伝わってきます」

はたてのコメント
「何これ。人間の憎悪や嫉妬、愛別離苦とか負の感情が渦巻く
 気の塊だわ。これは新聞記事にもってこいね!
 負じゃない感情も入ってるけど」

<LEVEL12-6 正体不明「厠の花子さん」:封獣 ぬえ>

はたてのコメント
「花子さん? あー花子さんねー
 この前ちょっと取材したんだけどシャイな霊だったね
 少しお通じが悪くてトイレに籠もりがちなんだってさ」

<撮影失敗時のテキスト>

心霊写真の一割が本物の霊。

・茨歌仙 第二話「意図的に捨てられた技術と地獄」(2010年9月)

間欠泉センターで立て看板を設置していた華扇が気に留めるものに、旧地獄の怨霊がある。
曰く、本来なら地上には出てこられない筈の咎人の霊。
華扇は右手で捕まえた怨霊を潰す。

華扇は旧地獄が地上とやり取りをし始めた事には気付いていないようである。

・茨歌仙 第三話「罪人の金鉱床」(2010年11月)

<地獄の怨霊>

博麗神社に現れた怨霊。
その場に居合わせた華扇によって潰される。

華扇曰く、地上は怨霊のような”ただの”罪人が居て良い場所ではなく、
住めるのは善人と聖人と大悪党だけらしい。

再び華扇が博麗神社に訪れると多くの怨霊がいた。

小町曰く、怨霊だからといって消して良い物ではない。
罪の重さに気付くまで地獄にいる必要がある。
輪廻の輪から外すことは本人の悟りによる物だけで無ければならない。

知ったことかと華扇は掴んだ怨霊を潰す。

<金塊と怨霊>

博麗神社にいた怨霊が群がっていたもの。

間欠泉センターにて湧いているもの。
このタイプの金鉱を温泉型金鉱と呼ぶ。

ここから湧く金は、地獄に落ちた者達の欲望が高温で溶け出した物である。

金は欲望の結晶であり、地獄の釜で欲望を溶かせば金が出てくる。
これが地獄の資金源にもなっている。

怨霊は色々な欲望や穢れを背負っており、溶かして出てくるのは金だけでは無い。
生きたいという欲望からは水銀、人を殺したいという欲望からは砒素、
他にもアンチモンや鉛なんかも含まれている。

<怨霊>

怨霊は人間の精神を蝕む。
欲望を増幅し怠惰の毒に冒され、死後人間を地獄に落とす。
地獄に落ちた人間は自らも怨霊となってしまう。

・神霊廟(2011年8月)

神霊廟では、タイトルにも含まれるように神霊が関わるようなストーリーとなっている。
人間、妖怪、妖精問わず、何か体から霊体のようなものが出てきている。
それは神霊と呼ばれるもので、特に害は無いが放っておけない霊夢たちは調査に出るのであった。

神霊とは、神様になる筈の霊。
一般的に神霊は神社を住処とする事が多いが、実は何処にでも住む実態のない霊である。
神奈子や諏訪子と同じ性質を持っている。

神霊が生まれる原因は、非常に強い人間の欲や想い、恐怖、感情である。
本来、神霊が直接人間に危害を与える事は少ないが、何らかの強い欲がなければ生まれない筈である。
例えば、豊穣祈願や厄除けといったものである。

結果を言えば、今回の異変で溢れていた神霊に見えたものは欲霊と呼ばれる一種の生き霊で、
ただの欲が具現化した低俗霊だったようである。
神子の復活を本能で感じ、神子に欲を聞いてもらうため大祀廟へと集まっていくのであった。

小神霊こと欲霊のゲーム中での姿。
(画面上部の青、緑、紫の魂状の物体)
霊界トランス。
霊界とは、人間が死ぬ寸前に見る幻覚の世界。
この世界では小神霊が活性化する。

欲霊以外では、亡霊である蘇我屠自古が新たに登場する。

蘇我 屠自古。
当ゲーム中では台詞はほぼ無く、スペル宣言でのみ立ち絵を確認出来る。

・求聞口授(2012年4月)

求聞史紀は設定資料集的な趣であったが、こちらでは神奈子、白蓮、神子による宗教対談のような内容になっている。
求聞史紀以降に登場したキャラクター全部を網羅しているわけではないが、同様の人物紹介や、
文々。新聞、花果子念報の記事も掲載されている。
ここでは、それぞれの項目について簡単に触れてみたい。

<八坂 神奈子>

神奈子の種族は神霊である。
本来姿形は無い者が多いが、有名な神霊は固定の姿を取っている事が多い。
それは信仰を得る為に必要な事で、多くの人間は、見えない物や嫌悪感を感じるような容姿の者には近寄らないからだ。

地獄谷間欠泉センターの管理をしている。
間欠泉センターは地獄と繋がっているようで怨霊が湧いてくる。
神奈子のような神霊は怨霊の影響が殆ど無いので、管理を引き受けているという話になっているようだ。

<外の世界の幽霊事情>

44ページあたりでは外の世界で幽霊がどう捉えられているのかが語られる。
外の世界で幽霊の存在を本気で信じている人は殆ど居ない。
ミステリースポットという幽霊が見られる場所というものが存在する。
実際に幽霊が遊びに行くこともあったようである。
ある程度有名になったミステリースポット、墓地や廃病院、廃学校などはちょっとした観光地と化してしまう。

<蘇我 屠自古>

古代人の亡霊。人間に対する怨みを持っており、性質はいわゆる怨霊である。
尸解仙になるはずであったが、布都に嵌められ亡霊のままとなる。

雷を落とす能力を持つ。
雷を落とすのは怨霊にありがちな能力らしく、その理由は怒りと雷の関係が深い事に起因している。
小さな怨霊だとゴロゴロと音を鳴らす程度だが、格が高くなると実際に雷を落とせるようになるようだ。

今では怨みはほぼ消えて、ただの雷が落とせる亡霊になりつつあるらしい。

<多々良 小傘>

使用者がいなくなった傘に宿った神霊が、へそを曲げた付喪神。
道具に宿る神というのは、大切に扱っている時は使用者の為に合わせようとするが、
捨てられてしまうと暴走して人間に牙を剥くようになる。

<村紗 水蜜>

遥か昔、水難事故で命を落とした霊。
元は水難事故で亡くなった霊体から始まっている念縛霊。
念縛霊とは、この世に未練を持ち三途の河を渡れない霊の一つで地縛霊の亜種。
幽霊の中でも誰からも視認する事が出来、性質が妖怪に近いため妖怪として扱われる。

<怨霊について>

104ページあたりでは怨霊について語られる。
怨霊は幽霊の一部で基本的には同じものであるが、悪意に満ちた人間や強い怨みを持った人間から出てくる幽霊のうち、
輪廻転生の輪から外れ、未来永劫幽霊のままの存在を怨霊と呼ぶ。
死後、地獄へ落とされる人間が怨霊になる事が多い。

怨霊は妖怪ではなく人間の悪意が生んだ霊。
もし、この怨霊が人間に取憑き皆が疑心暗鬼になってしまうと、外の世界と変わらず敵対関係が人間のみで完結する。
結果、妖怪の存在意義は危うくなってしまう。
また、精神が存在の主体となる妖怪では怨霊が取憑くと、怨霊に乗っ取られた別の妖怪と化してしまう。

<古明地 さとり>

彼女は言葉を持たない霊魂の心も読めるため、怨霊からも避けられる。
「言葉を用いる生き物は全て裏表がある」と考える怨霊は、会話によるコミュニケーションを欲している。
それ故、怨霊は死体や霊と会話の出来るお燐になつく。

<霊烏路 空>

八咫烏という神霊をその身に宿している。
神霊を体に宿すのは動く分社になるようなものであり、普通の人間や妖怪にそのような芸当は難しい。
頭の中が空っぽの者は神霊を宿すのに何かと都合が良い。

八咫烏の力は太陽の力で神の火である。
超高温で制御する事が難しく、空の力はその制御に費やされているようである。

<鍵山 雛>

厄についての記述がある。
厄というのは人間を不幸にする思念体で、不幸の幽霊である。
不運というのは幸運の裏返しで、性質もほぼ同じである。

・茨歌仙 第十五話「見える御神体」(2013年2月)

臥龍梅を中心に話が展開する。
臥龍梅は博麗神社にある木の一つで過去の巫女もこれを御神木にしていた事があるらしい。
今回は霊夢が御神木にする。

臥龍梅には注連縄をしていたものの、枝は注連縄の外で根を張っていた。
ここから神霊が漏れ出しいつの間にか神社は霊だらけになっていた。
その事が新聞記事となって再び妖怪神社として噂が広まってしまい、
霊夢が気付いた時は既に遅く参拝客の足は遠のいていた。

・心綺楼(2013年5月)

当作品では殆ど霊的なものの要素は見受けられない。
強いて言うなら、今作でスポットの当たる「感情」について調べてみると、
幽霊と気質の関係性について更に奥深くする事が出来るかもしれない。

やや関連するであろう物には、布都のストーリーモードのエンディングにて「希望の結晶」なる単語が登場する。
これは、物質的なものではなく神霊的なものらしい。

・輝針城(2013年8月)

打ち出の小槌の魔力と、それに翻弄される人間、妖怪、付喪神と道具達のストーリー。
付喪神に宿るもので見方が変わりそうだが、他の霊的な要素はほぼ皆無と言っていい。

・鈴奈庵 第十六・十七話「曰く付きの艶書」(2014年3月 - 2014年4月)

小鈴の読む耳袋のエピソードのひとつから話が始まる。
祐天上人の逸話のひとつで、艶書のことで成仏出来ない娘を祐天上人が成仏させるという話。
話が終わったあとに小鈴は祐天上人の話に出て来た既に無いはずの艶書を取り出す。

一方、霊夢と魔理沙は何やら幽霊、怨霊関係で調査をしているようだ。
そして、その悪意の霊(おんりょう)と出会ったところで物語は後半へと続く。

視点は再び小鈴と阿求へ。
祐天上人とは、怨霊を退けた逸話が多く残っている名僧である。
しかし、怨霊退治が多いというのには疑問が残る。
小鈴と阿求の予想では妖怪に乗っ取られて怨霊退治をしていたというものだ。
怨霊は妖怪にとっても悪影響があるからである。

祐天上人は怨霊は退治出来ても幽霊を成仏させる事は出来なかった。
ならば手紙に娘の霊を封印してしまおう、と封印されたものが小鈴の持つ艶書である。
と考える。

視点は、霊夢と魔理沙へ。怨霊を待ちかまえている。
魔理沙が囮となって怨霊は現れ、霊夢が見事にその頭部へと一撃を見舞った。

……だが、現れたのは操られていた小鈴であった。
見事に退治してしまった霊夢と魔理沙は小鈴が目を覚ました時は退治した事実を隠した。

霊夢と魔理沙は手紙を欲しがる怨霊の噂を調査していたのであった。
霊夢は手紙毎供養する事を考えるが、売り物であり貴重な資料でもある艶書を手放したくない小鈴は
霊を手紙から出して退治するか再封印する事を望むのであった。

結局、霊夢は小鈴を殴ってしまった後ろめたさもあり、封印するに留めるのであった。

・弾幕アマノジャク(2014年5月)

輝針城での一件によりお尋ね者となった鬼人正邪。
その正邪を自機として扱い、不思議道具を駆使しながら逃げ切るのが目的のゲームとなる。

そんな不思議道具の中の一つに「亡霊の送り提灯」というものが登場。
憧れの幽霊になる事が出来、ゲーム中の効果は一定時間無敵になるというもの。

・鈴奈庵 第二十四・二十五話「著者不明は容易く盗まれる」(2015年1月 - 2015年2月)

雪の積もっている寒い日。
小鈴は屋内で読書をし始めるのだが、それは見覚えのない易書であった。
そして、小鈴は占術に開花し、人間の里でよく当たると評判になるのである。

前編では、不穏な影が現れては消えるだけに留まる。

後編は、小鈴から占いを聞く魔理沙から開始。

小鈴から今日明日の間は運の巡りが最悪と占われた魔理沙は博麗神社に居座ることにする。

小鈴の行っていた占術は独特で、魔理沙は以前に何処かで見た記憶があるらしい。
そして、長屋に住む易者の大先生の門人の中に、小鈴の行う占術と似た占術を使っている者が居た事を思い出す魔理沙。
その門人は占術が魔術を帯び過ぎて破門になったようだ。
だが、半年ほど前に門人は不審な死を遂げる。
自殺なのか妖怪の仕業なのか一時話題となったが、そのまま埋葬された。

一方、鈴奈庵の占いはよく当たり、それは小鈴が編み出した独自の占術と聞いた阿求は、
小鈴が「民家要術」の罠に陥っていると、鈴奈庵へと急ぐ。

小鈴の突然の能力開花と、魔理沙から聞いた易者の死に妖怪の関係を感じた霊夢も鈴奈庵へと向かう。
鈴奈庵へと到着した霊夢は気を失っている小鈴と、その背後にいる何者かと対峙する。
攻撃を仕掛ける霊夢だが、何者かはそれを防御してそのまま逃走。
追いついてきた魔理沙に小鈴をまかせて霊夢は何者かを追う。

その後、鈴奈庵へと到着した阿求は、魔理沙に易書に関して説明を始める。

江戸時代の国学者、宮負定雄の書いた「民家要術」の本の読み方には以下のような内容のものが書いてある。
本を読むときはその本の著者もまた読者を見ている。著者が死んでいようとも。

小鈴の持ってた易書のように「誰が書いたかわからないけど強い思いが込められている」本は
読むだけであの世とこの世を繋いでしまうという。

また、「誰が書いたかわからないのを良いことに良いところだけ自分のものにして悪いところをこき下ろすと作者は恨んで出てくる」
といった感じの記述もある。
小鈴のやっていた行動はまさにそのものであった。

人気の無いところへとやってきた霊夢と何者かが対峙する。
何者かは霊夢に対して語り始める。

人間を辞めようと思った門人は、本を通じてあの世から戻ってこれる方法を知る。
そして、小鈴の行動を利用して嫉妬の心によってあの世から怨霊として復活してきた。
元門人の存在は、嫉妬の心をコントロールすれば怨霊にはならないと言う。

元門人はそのまま対峙する霊夢の元から去ろうとするが、
里の人間が妖怪化するのを監視するのが仕事である霊夢によって退治された。
そして、発動条件が揃うと冥界の扉となる易書は焼却処分となるのであった。

・茨歌仙 第二十七話「妖怪に刺さる針」(2015年2月)

このエピソードでは針供養に関する話が出てくる。

針供養のために、霊夢は豆腐に針を刺していく。
いつも妖怪ばかり刺している針なので、結構良くない霊が宿っているらしい。
大豆は節分でも使うくらいなので、豆腐に刺して除霊している。

華扇は、本義は柔らかい物に刺して休ませる事である、と語っている。

供養した針を再度使い続けようかと考える霊夢だが、華扇は休ませた方が良いのではないかと言う。
あまりにも使い続けていると付喪神化してしまう可能性もあるからだ。

魔理沙は折れたり曲がった針を貰おうとする。
多くの血を吸った針は曰く付きのマジックアイテムとのこと。

・鈴奈庵 第二十六・二十七話「狐狗狸さんは桜と共に散りぬ」(2015年3月 - 2015年4月)

稗田家での花見から物語は始まる。

稗田家にある桜の隣には石が祀られている。
その石は石長姫の分霊で、御利益は長寿。

そして、話は人間の里の子供達の間で流行っている「こっくりさん」にシフトする。
何故か占いから変化して降霊術として広まった曰く付きの遊びで、
本物ならば知らず知らずのうちに子供が降霊していることになる。
ちゃんとお帰りいただく手順を広めないと危ないかも、と阿求は言う。

鈴奈庵へと戻った小鈴は何かを探している。
それは、 小鈴の父が何かの木簡だと思って拾ってきたものだ。
その見た目はこっくりさんにそっくりな木板である。
小鈴はその木板を使ってこっくりさんを試してみたいが一人では出来ない。

丁度その時、魔理沙が鈴奈庵を訪れる。
小鈴は魔理沙にこっくりさんについて知らないか聞き、魔理沙は知らなくもないと答える。
だが、小鈴の出した木板については判らないので、魔理沙は小鈴を香霖堂へと連れて行くことにした。

霖之助の能力により、木板は「ウィジャボード」という名前で、低俗霊を降霊して会話する物であることが判る。
そして、霖之助から”簡単な”説明が始まろうとするところで前編は終了。

以下、後編。

外は日が暮れ始めている。
霖之助の説明は降霊のシステム化のあたりに来ていた。
そのまま長々と説明が続きそうなところを魔理沙が止める。

仕方がなさそうに霖之助は以下のように締める。
ウィジャボードの使い方はほぼこっくりさんと同じで、二人以上で手を添え降霊したのちに質問するだけ。
但し重要な違いが一つあり「こっくりさんはプレイヤーに降霊するのに対し、ウィジャボードはプランシェットに降霊する」とのこと。

小鈴が鈴奈庵に戻ってきたのはすっかり日が暮れてから。
その後、魔理沙と一緒にウィジャボードを使っての降霊を試す事になる。

視点は霊夢へ。
霊夢が人間の里へと来ているが、相変わらず子供達の間では狐狗狸さんが流行っているようだ。
出てきているのは鼠か何かの小動物の低俗霊ですぐに自然消滅する。
大したものではないが、霊の言葉を聞けるのは巫女の特権であると考える霊夢は
商売の邪魔にならないように案を考えようとしたとき、鈴奈庵から異様な空気を感じる。

中では、魔理沙と小鈴がウィジャボードでの降霊を試している最中であった。
どうにもうまくいかないらしい二人に対し、霊夢は本物の降霊を見せるという。

そして、霊夢と魔理沙の二人で降霊をすることになる。
霊夢は念じるだけで降霊を成功させる。
曰く、狐狗狸さんのレベルを超えた神霊の降霊で、決してシステム化出来ない本物の巫女にしか出来ない
究極の狐狗狸さんとのこと。

この時の降霊は、都市伝説の具現化している現在、小鈴を通してこっくりさんの力を無力化する噂を流すために
霊夢が力を見せつけたものである。
結果、人間の里の子供達の間では狐狗狸さんの流行が廃れることになる。

その様子を見ながら会話する霊夢と魔理沙。
霊夢は鈴奈庵に山ほど神霊がいることを話している。

また、降霊の際に使っていたプランシェットには元々霊が宿っていたらしく、
外国にしかいない小動物の霊で、立派な低俗霊であったことがこの時に明かされる。

・深秘録(2015年5月)

各キャラクターのオカルトの内容を見ると怪しそうなものはちらほらあるが、
霊的なものを読み解くという観点から言えば、余り関係するような記述は見られない。

○おわりに

幽霊の事についての概要に触れ、幽霊やその他の霊が関係した作品、エピソードをざっくりと書き出してみましたが、
正直なところ不完全である事は否めないでしょう。
幽霊以外にも、亡霊や神霊、怨霊については書き出した項目をまとめてみる必要がありますし、
書き出したものの中でも、演出面や関係しているであろうスペルカード全てにまでは触れていないのが現状です。
(代表的なものでは緋想天・非想天則あたりには今回触れてはいない霊関係のスペルカードが結構見られます)
これらに関してはまた別の項目で取り扱っていければと考えています。

また、冒頭の部分でも触れているとおり今回書き出してあるのは飽くまで深秘録時点までのものであり、
東方project及び関連作品はまだ展開が続いている最中となります。

(15/06/13編集)

戻る

inserted by FC2 system