Diary2018-1
1月19日のこと

出遅れたとかそういうレベルではありませんが、あけましておめでとうございます。
今年最初の更新は千葉市動物公園から始めるとしましょう。

さて、唐突ですが皆さんは”モウコノウマ”という動物をご存知でしょうか?
今年最初にやるなら戌年にちなんだものをやる絶好の機会だというのに何故ウマの話から始めるのか。
千葉市動物公園でイヌネタをやろうとするとこうなるからです。

オグロプレーリー「ドッグ」。
そう、千葉市動物公園にはイヌ科の動物がいないのです(見落としてるだけでしたら失礼)。
なので、イヌ系の話は別の機会にしてウマなのです。
いやいや、他の動物だって色々いるのに何故にウマの話を取り扱ってみようとしたのかにはちゃんと動機があります。

「どうぶつと動物園」。東京動物園協会が東京動物園友の会会員向けに発行している雑誌で年4回発行されています。
先日に葛西臨海水族園に行った際に平成30年冬号を入手してきました。
その記事の中の一つに多摩動物公園のモウコノウマの記事があり、そういえば千葉市動物公園にもモウコノウマがいたよな、
と思い至り自宅からも遠くないため折角なので行ってみることにしました。
さて、そのモウコノウマですが次のような見た目をしています。

……ウマですね。
名前はモウコノウマか。ウマなんて競馬中継とかでも見慣れているしライオンとかシマウマとか動物園らしい動物を
早いところ見に行ってみよう。
となるのが正直なところではないでしょうか。
ですが、このモウコノウマは他のウマとは違う実は結構レアな動物であると知ったら、見方も変わるかもしれません。

モウコノウマのレアな動物である点とは何か。
先ほど多摩動物公園と千葉市動物公園の名前を挙げましたが、モウコノウマを見ることができるのは国内だと実は
この2園だけに限られます(2018年1月現在)。
現時点で多摩動物公園では14頭、千葉市動物公園では2頭が飼育されています。

そして、モウコノウマの一番レアな動物である点は「現存する唯一の野生馬」であることでしょう。
と言われても何がどうレアなのかピンと来ないと思うので、千葉市動物公園にいる他のウマの仲間を見てみましょう。
ウマの仲間は「ふれあい動物の里」と「子ども動物園」の2箇所で展示、飼育されています。
ふれあい動物の里の方では乗馬などの体験がメインなので、ここでは子ども動物園にいる仲間を見ていくことにします。

がっしりとした体格に太い脚が特徴的なこのウマはペルシュロン。
重種という品種に分類され、荷物を引いたり馬車を引いたり力仕事で活躍します。
かつては軍馬として全身甲冑を着込んだり大砲を牽引する役割もこなしていたようです。

飼育されているなかで中くらいのサイズのウマがこのシェットランドポニー。
イギリスのシェットランド諸島原産で、小柄な割に寒さに強くて力ある特徴を生かし、かつては泥炭の運搬など
色々な仕事をしていました。

ポニーというのは品種ではなく肩までの高さが147cm以下のウマの総称で、この分類でいくとモウコノウマや
次に紹介する道産子など日本在来馬もポニーに入ります。
肩の高さだけで分類するこの方法ではシェットランドポニーであっても147cmを超えるものは「馬」に入るという
何ともややこしさのあるものです。

飼育されている中で一番小柄に見えるこのウマは道産子(どさんこ)。
日本在来馬のうちのひとつで、道産子という名前は北海道和種の俗称です。
寒さに強く木材運搬など北海道開拓で活躍しました。

さて、いま紹介した3種類のウマ、もっと言えばサラブレッドなど一般に広く知れ渡っている現存するウマの仲間と
モウコノウマとでは決定的に違う点がひとつだけあります。
お気づきでしょうか。3種類のウマは運搬であったり馬車を引いたりと人の生活と密接に関係しているのです。
これらのウマは人々の求める仕事などに合わせて大なり小なり品種改良がなされてきた結果の姿になっています。
サラブレッドなどは速く走らせるために改良してきた最たるものでしょう。
対してモウコノウマは先にも述べたとおり「野生馬」であり、一度も改良されたことのない姿をとどめています。
野生馬に分類されるウマで現生しているものはモウコノウマただ1種だけであり、レアな動物であると言って
差し支えないでしょう。

そんなモウコノウマですが野生下では一度絶滅しており、現在では飼育下の個体を野生へと復帰させるプロジェクトが
進行中です。

動物園へと行くとライオンやシマウマのようなメジャーな動物だったり、よほど分かりやすく変わった特徴を持った動物へと
目を向けてしまいがちですが、パッと見て地味であったり他の動物と大きな差が見出せない故に目立ちにくい動物
であってもよく見るとその動物園でしか飼育されていなかったり凄い能力を秘めているものもたくさんいます。
一度行ったことのある動物園に再び行く機会に恵まれたときなどは、前回よく見ていなかった動物に目を向けなおしてみて
新しい発見をしてみませんか。

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