あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
2016年。今年はどういう年になるでしょうか。
といったところで、新年一発目のネタは東方ネタでいってみます。
【鈴奈庵第34・35話「誰がデマゴギーを広めるのか」について触れてみる】
・世界轉覆奇談について少し書いてみる
頼りにしたサイト
yujifun交貼帳
該当ページ
(2016年1月時なので、それっぽいものが見当たらない場合はNextを辿れば出てくるかも……)
早稲田大学図書館・古典籍総合データベース
世界転覆竒談(平野伝吉)
というか、検索しても役に立ちそうなサイトがそんなに多くない印象。
(何しろ「世界轉覆奇談」でググると先日の日記で少し触れたためかこのサイトが検索上位にいるくらい)
一体神主は何を見て「世界轉覆奇談」を知るに至ったのでしょうか。
それはともかくとして、鈴奈庵で出てくる「世界轉覆奇談」は平野伝吉版のもののようです。
1881年(明治14年)、この平野版を皮切りに類似出版が相次いだとのこと。
以下に平野伝吉版「世界轉覆奇談」の内容をyujifun交貼帳にある訳も頼りにして記してみる。
世界轉覆奇談(せかいひッくりかへるめづらしきはなし)
聞説(きくなら)く今より四百年のむかし「イタリヤ」國の人某が推測せしに
紀元千八百八十一年十一月十五日即ち我が明治十四年十一月十五日より
日數(ひかず)十五日の内に天地潰(くづ)れ山岳破裂して大火山を現出し河川溢れて
洪水となり地上にある人間禽獸草木等残らず斃死枯尽(へいしこじん)すと云をききたる
由ヲ聞しが早くも英國にてハ「リンコオンシヤー」と云へる八十三歳の一奇人あり
固く世界轉覆の浮説を妄信し千辛万苦して一の工夫を廻(めぐら)し近次(ちかごろ)急に
軽気球を造り愈々轉覆せんとする日にハ之に乗り高く空中に上り其害を避け
身を全ふせんと計りたり誠に不可思議の考へと云ふ可し今下に圖(づ)するは其日の景況(ありさま)なり
第一日目 川々へ水の入る図
第二日目 大洪水
第三日目 大怒濤(おほつなミ)
第四日目 川の魚こと/゛\く死ぬ図
第五日目 海の魚皆死ぬ図
第六日目 鳥類のこらず死し落る図
第七日目 家蔵が風のために崩る
第八日目 岩石の類四方八方に飛乱(ひらんする)図
第九日目 大地震家のこらず倒るゝ図
第十日目 山や谷が動揺(うごきいだ)す図
第十一日目 悪空(わるきき)の為に人は唖又ハ聾となる図
第十二日目 地上動揺して人家を崩し破裂の地底に埋むる図
第十三日目 天の衆星こと/゛\く雨の如く降る図
第十四日目 世界の男女が皆死んで仕舞ふ図
第十五日目 燃出る噴火のために山も谷も川も溶解(とける)図
上に圖する処は其日の景況也想像してものせしもの也往昔「ノア」の大洪水あり
又唐土三皇の世に天柱折れ地維缺(かく)るの変ありと?(ム+虫 いへど)も
固より信ずるに足らざる説なり
且「リンコオンシヤー」の如き世界の消滅を恐れ身を空中におくとも
如何せん空氣の通ふ?(タ+口 ところ)ハ引力あり
引力の通ずる處ハ空気の為に震動するハ自然の理にして
奇人の苦心焦慮も畫餅(むだごと)に属せんとするを恐るゝなり
以上は傳聞のまゝを記するものにして取るに足らざる妄説なり
此妄説を誤ることなく安全に其身をたもたれんことこそ願ハしけれ
御届明治十四年九月廿一日
編輯出版 芝區宮本町一番地 平野傳吉
魔理沙の言う「イタリアって所の奴」に関する記述もある。
が、どっちみち元からして某になってるので、誰が予言したものなのかは不明みたいである。
このエピソード中に広まっている「弥勒の世」の噂の発端は誰かが見た「世界轉覆奇談」のチラシであろう。
文々。新聞では「このチラシは全くのデタラメでありこの様な悪意のある飛語に惑わされてはいけない」
と書いてあるが、「世界轉覆奇談」そのものにも「取るに足らざる妄説」とも書いてある。
里には偶然にか意図的にかその部分が外れて伝わったために終末論が広がったものと思われる。
さて、「世界轉覆奇談」には「弥勒の世」なる言葉は出て来ないので、
伝聞するうちに「弥勒の世」と終末論が合わさっていったのだと思われる。
この「弥勒の世」、軽く検索してみる程度だと白蓮の言うように世界が終わるような突飛なものではなく、
どうにももう少し弥勒菩薩あたりから調べないと何やら解釈が分かれているような感じでよく分からないです。
(というより仏教思想的なもの自体、どこを取っ掛かりにしようかが悩ましい。
日本神話なら「古事記」だ「日本書紀」だ、のような資料・史料的な名前がぱっと思いつかないです )
ということで、「弥勒の世」については機会があればまた適当に書いてみたいと思います。
……ん? そういえば文の言っていた未来記って何だ?
聖徳太子の未来記……「未来記 弥勒の世」検索……あ……
東方で聖徳太子といえば……どう解釈したものかな。
|